【特別企画!】『狼少年は今日も嘘を重ねる』namo氏インタビュー!

掲載日時 2016/08/10 12:00

8月12日(金)に発売される『狼少年は今日も嘘を重ねる』3巻の告知も兼ねて、漫画家・namo氏をインタビュー! 本作の今後の展開は? そもそもnamo氏自身は女装癖あり? 等々、赤裸々に語ってもらいました!



漫画家・namoが生まれたきっかけは
好きな子の気を引きたかったから!?


▲著者近影

生物学上ではホモ・サピエンス。ウサギではない。

――絵を描き始めたきっかけはなんですか?

 小学校3年生くらいの時に遡りますけど、クラスメイトの女の子が絵を描いていて、その子の気を引きたいという安易な理由から始めました(笑)。それで近所に1歳下の男の子がいたんですけど「どっちが絵、うまい?」みたいな話になって、当時天野シロ先生の『聖剣伝説レジェンドオブマナ』の表紙を模写して見せ合っていました。

――最初はマンガではなくイラストを描いていた?

 そうですね。でもネットのお絵かき掲示板とかで知り合った人に「マンガ描くのもおもしろいよ」と言われて描き始めたのが最初です。マンガのマの字も知らなかったけど、とりあえず志村貴子先生の『放浪息子』の二次創作同人誌を描いたんですよ。それで当時は岡山にいたので、全30サークルくらいの地元の小さな即売会にその本を出したのが最初の同人誌です。


▲コミッククリア初公開! namo氏、初同人誌。

――コミケなどの大きな即売会によく出るようになったのはいつですか?

 大学に入ってからですね、あと僕はどちらかというとコミティアの空気のほうが好きで、学校の友人と一緒に作った合同誌をコミティアに出して、大学4年の時に2冊目となる個人誌、シャーペンとかコンパスとかの文房具を擬人化したマンガなんですけど、それを東京コミティアに出したんです。

※コミティア:自主制作漫画展示即売会のイベント名

――ではその頃には、マンガ家になりたいと思っていたのですか?

「なれたらいいな」という願望があったくらいですね、マンガ家になれなかったらゲームのイラストレーターになろうと思って、ゲーム会社の募集などを見ていました。でも先ほど言った、コミティアで出した個人誌が運良く出版社さんの目に留まって「うちでマンガを描いてみない?」と声をかけられたんです。それでマンガ家として仕事を始めました。

『狼少年は今日も嘘を重ねる』
制作秘話

――では『狼少年は今日も噓を重ねる』は、どのような形で生まれたのでしょう?

 もともとはキャラクターを作るのが好きで、オリジナルのマンガを描きたいという願望はあまりなかったんですよ。ただ『バカとテストと召喚獣 SPINOUT! それが僕らの日常。』などの連載をやっている時、その場その場で思いついたネタをあとに使おうとネタ帳にメモしていたんですが、それがたまっていくうちに、完全オリジナルのマンガを描きたくなったんです。


▲namo氏連載作品『バカとテストと召喚獣 SPINOUT! それが僕らの日常。』
(連載期間:2009年3月~2012年10月)。6巻にて完結。

――ネタ帳にキーワードとかを書いておくんですか?

 キーワードとかフレーズもあります。語呂のよいフレーズから世界観やシーンが思い浮かぶんですよ。その中から「これは単発の読み切りで行けるかな」とか「これは連載マンガにできるかな」という感じでためていったんです。そこからプロットを固めていった感じで、最初編集さんと打ち合わせした時3本ほどプロットを用意していて、その中から生まれたアイデアのひとつが「狼少年」だったんです。

――「狼少年」に関しては、アイデアの発端はなんだったんでしょう?

 ふたり男女がいて、人格が入れ替わるような話ってよくありますよね。ああいうのが好きで、そのネタを使いつつ、今まで世にあまり出ていないような話はなんだろうと色々考え、「この要素をあわせたら話を膨らませられそうだな、どうやったらおもしろくなるだろう」などと考えて、設定を作っていきましたね。

――具体的なキャラクター像よりも設定が先だったんですね。

 そうです、あと群像劇的な、キャラが入り乱れて展開する話が好きなんですよ。実際にそういう話を作るのはハードルが高いかもしれないけどやってみたいと思って、プロットを作っていきました。

――では主人公が女装するというのは初同人誌の『放浪息子』が原点にある感じですか?

 そうですね。あと、たとえば突然性別が変わったという時のキャラの反応は、驚いているところとか新鮮な感じで出せるじゃないですか。それに「自分が女になったらどうなるだろう?」というのは読者の方に共感してもらえやすいところでもありますので。


▲参考例:驚いてるところ。主人公、はじめての女装(「1st contact」より)

――とすると、やはり最初に誕生したキャラクターは五木だったんですか?

 実は最初は外鯨さんだったんです(笑)。次に牡丹で、最後に五木だったんですよ。

――それは意外ですね。外鯨さんはどういうところからイメージができてきたんですか?

 個人的にボブカットと、目つきの悪い女の子が好きなので、そのビジュアルから入りました(笑)。やはり描いていて楽しくないとモチベーションが保てないですからね。


▲ヒロイン・外鯨葵の初期設定

――では男性恐怖症などの設定は、物語をつくるためにあとから当てはめていった感じですか?

 プロットに“男性恐怖症”というキーワードは最初からありましたね。その次にキャラクターを作りました。ちょっと冷たい雰囲気の、竹を割ったような性格の子が好きだったんです。すぱっと切れ味の鋭い女の子ですね。

――Sっぽい女の子が好きなんですね。外鯨さんの印象的な「無理です、あなたの存在が」という最初のセリフもそこから来ている感じですか?

 そうですね、ばっさり切る感じです。あと自分が文学少女好きというのもあって、外鯨さんも本好きという設定ができました。

――次に牡丹が生まれたということですが、こちらは?

 これも僕好みのタイプのキャラのひとつで、“小さいけど、元気ではきはきしている女の子”ですね。『ゼロの使い魔』のルイズとか、『とらドラ!』の逢坂大河がイメージにありました。だから最初、牡丹もルイズや大河に近い、髪が長いデザインにする予定だったんですよ。でも五木の女装時の髪も長くてデザインがかぶるから、ぼたんの髪は短めにすることにしました。あと頭身も、他のキャラとの差別化を図るために下げています。


▲ヒロインその2・倉敷牡丹の初期設定(この時はまだロングヘアー)

――主要キャラの中で、最後に主人公の五木君ができたということですが、どのようにキャラを作られたのでしょう?

 五木君に関しては、自分は振り回される主人公が好きなんです。

――それで振り回す存在として、あんなお姉ちゃんが出てきたんですね!

 そうなんです。あと五木君だけだとキャラが弱いところがありますから、そこを補強してあげるためにも、あのお姉ちゃんがいる感じですね。


▲「あのお姉ちゃん」こと、五木君の姉。弟を女装させた張本人。(「2nd contact」より)

――五木君の「目つきが悪いせいで、よく周りに怖がられている」という点は?

 2巻の内容でも少し触れたんですけど、そういう子ってつらい目に遭い周りの目を気にしている分、逆に気遣いができて人に優しくできるんじゃないか、そういう主人公だから外鯨さんのいろんなところに気づけるんじゃないかと思ったんです。

――女装バージョンのイツキのデザインについては?

 巻き毛が好きなんですよ。外に広がってから内側にくるっと回り込むような髪の毛が好きで、そこからデザインしていったように記憶しています。ただ実際にマンガの中で描いていると、角度によってかわいく描くのが難しくてなかなか絵が安定しないんですよね、そのため途中から髪を短くしました(笑)。


▲五木啓太郎&イツキの初期設定。すでに「巻き毛」が描かれている。

――イツキの髪が短くなったのに、そんな制作の裏事情があったとは(笑)。

 作中では「イメチェン」と言っていますけどね(笑)。

――その髪型も“お姉ちゃんの遊び”という形で短くされたように描かれていますけど、ここでも五木君を振り回す存在としてのお姉ちゃんですね。

 お姉ちゃん便利なんですよね、彼女を出すと話が運ぶ運ぶ(笑)。お姉ちゃんのお陰で物語が始まったところもありますし。あと五木君が全部自分で判断すると、駄目男に見えてしまう可能性があるんです。お姉ちゃんにそそのかされて動いたということで、五木君が悪く見えないようにもしてくれています。


▲イツキのイメチェン(「9th contact」より)

――確かに、下手をすると「外鯨さんが男嫌いということを知ったので、女装して近づくことにしました!」になってしまいかねないですからね(笑)。

 そうなんです(笑)。読者の方が嫌いになってしまいそうな五木君の要素を、お姉ちゃんがうまく吸収してくれるクッション的な立場もあるし、話を動かしてくれる存在でもあるんですよね。今は話を動かす、引っかき回し役が牡丹にシフトしていっているんですけど。

――牡丹が男の五木君に惚れてしまう展開になりますからね。

 設定を作った時から、2巻のラストページ(外鯨さんとぼたんの、五木に対する感情の対比)が描きたいと思っていたんです。「これからキャラが入り乱れておもしろくなるぞ」と、次の巻への引きを意識していましたね。


▲コミックス3巻への引きを意識したラストページ(「11th contact」より)


――ここから本格的に三角関係が始まっていく形ですからね。もっとも外鯨さんと牡丹は2人とも、五木君の女装に気が付いていないわけですが。

 そのことに五木君が罪悪感を覚えていて、この罪悪感はいずれコップに満たされる水のようにあふれてしまう物なんですよね。その時にどうなるのかというのが、自分にとってこの物語の展開のポイントですね。

――五木の罪悪感が、「狼少年」というタイトルにも象徴されている感じでしょうか。

 そうですね、女装をしている時点で“噓”ですから。タイトルは「これ、語呂もいいな」とスムーズに決まりました。ただ、「タイトルをどう略したらいいのか」というのは、単行本表紙のデザイナーさんとかとも話して困ったんですけど。“オオウソ”と略するのもなんですし、結局“狼少年”としか言いようがありませんけど(笑)。

――特にお気に入りのキャラとか、思い入れがあるキャラを上げるとすれば誰ですか?

 五木のお姉ちゃんが好きですね(笑)。やっぱり話を動かす上で便利というのがありますから。作画作業で楽しいのは牡丹ですね。あと端から見て「空回りしているなぁ」というキャラが好きなので、ヤンキーの宮間君も気に入ってます(笑)。


▲namo氏お気に入りの"ヤンキー"こと宮間。当初は「1st contact」登場のみのキャラでしたが…。

――女装したイツキに惚れ、さらに「マジメになるために伊達眼鏡しました!」というくらいのキャラですからね(笑)。

 五木君本人が「外鯨さんたちと、このままの関係ではいけない」と思っていることもあり、『狼少年』ってそのままだと重くなりがちな話なんですけど、ヤンキー君の存在でギャグができて重たくなり過ぎないようバランスを取ってくれる、清涼剤的なキャラですね。

――読者からの反応で、印象に残ったとか意外だった点などはありますか?

 「牡丹がかなり人気あるなあ」と思ったのが大きいですね。最初、五木君を敵視しているというマイナスからのスタートだったので、そこまで人気が出るとは思っていませんでした。

――定番ですがツンデレ的な面を見せつつありますからね。

 最近はデレしか見せていない気もしますが(笑)、ある意味わかりやすいキャラクターではありますからね。牡丹って、ある程度までいったら考えずに突き抜けるタイプなので、自分にとっても動かしやすいんです。逆に外鯨さんの内面は非常に複雑ですからね。


▲コミックス3巻でデレ期突入の牡丹。台風の目です!(「17th contact」より)

物語も佳境!『狼少年は今日も嘘を重ねる』
これからどうなる? どうする?

――外鯨さんの男性恐怖症の理由がまだ語られていないのが、読者的にも気になるところだと思いますが。

 その点は、重たい理由にするか軽いギャグ的な理由にするか、まず方向性をどうしようか考えていたんですけど、ここまでシリアスな雰囲気になってきたらギャグにはできないですよね(笑)。今2パターンほど考えていますが、タイトルの“噓”にからめたものにしたいと思って、練り込んでいるところです。


▲外鯨さんの完全な拒絶。この原因はいったい…?(「1st contact」より)

――五木の女装がいつ、どんな形で明かされるのか、五木がどう行動するのかも含めてポイントになるでしょうね。そしてやはり最後は、三角関係がどう帰結するのかというところですが……。

 まあこういう関係になってしまった以上、報われないキャラはどうしても出てくると思いますが、たとえ失恋したとしても他になにか得るものがあった、多少なりとも救われるという、できるだけハッピーエンドと言えるものにしたいと思っています。


▲外鯨か、それとも牡丹か…気になる恋の行方は!?(「4th contact」より)

――今後の展開に期待というところですね。最後に、読者のメッセージなどありましたらお願いできますでしょうか?

 みなさんそれぞれ感情移入しているキャラや好みのキャラも違いますし、各キャラに結(けつ)を作ってあげるのが作者としての義務でもあると思っているので、最後まで見届けていただければと思います。単行本3巻の発売と最新話の公開がもう控えているので、クライマックスに向けて最後までお付き合いください。

狼少年は今日も嘘を重ねる
最新話掲載日:2017/08/11
『狼少年は今日も嘘を重ねる』
漫画:namo

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